《森の小憩、ジェルブロワ》
"A Break in the Woods, Gerberoy"
油彩、カンヴァス 1925年
150.5×126.0cm
緑濃い木々の間を縫って差し込む木漏れ日が、点描による美しいタッチで詩情豊かに描かれている。柔らかな光線の振動、微かな空気のゆらめきを、夏の日のひとときの印象として見事に捉えた名画である。白布の上の果物、パン、ワインなどの小道具が、背景の木陰の大道具とともに《草上の昼食》のシーンを想起させる。手前の枝に掛けられた帽子や放り出されたバラの花は、若い女の匂いを漂わせている。人影はないが、人の気配は明瞭である。

ル・シダネル、アンリ
LE SIDANER, Henri
(1862-1939)
インド洋のモーリス島に生まれ、ヴェルサイユで没。パリに出てカバネルのアトリエで学ぶ。ル・シダネルは、1894年にサロンに初出品し、その後サロン・ナショナルや1900年のパリ万国博覧会に出品した。印象派や新印象派の影響を受けながら、どこか暗い霧に包まれたような静謐な風景や室内を描いた。点描画法を駆使した作風には、印象派、新印象派の新技法の影響が顕著であり、特に彼の描く哀愁をおびた夕暮れの詩情には独特の趣きがある。
