 |
1月の誕生石:ガーネット January Birthstone: Garnet 「家庭の女神ヘラ」のカメオ・ブローチ 1850-70年 ポール・ヴィクトール・ル・バ フランス ガーネット、ダイヤモンド、パール、金、銀 個人蔵©AAJI |
|
 |
ガーネットは植物のザクロ(柘榴)の果実に似ていることから、日本名では「ザクロ石」とも呼ばれています。ガーネットの語源は、ラテン語の“グラナトゥム granatum”(ザクロまたは種子)に由来し、赤色のアルマンディン・ガーネットがもっともよく知られています。その他、緑色のデマントイド・ガーネットや黄色のトパゾライト、褐色やピンク色で知られるグロッシュラー、さらに紫色のロードライト、虹色のレインボーなどがあり、一言にガーネットと言っても14種類の鉱石のグループのことをさしています。
宝石言葉: 勝利/貞操/真実/友愛/忠実 Attributes: victory, chastity, truth, fraternity, and fidelity. |
 |
2月の誕生石:アメシスト February Birthstone: Amethyst 花びらのペンダント 1870年頃 ロバート・フィリップス イギリス アメシスト、パール、エナメル、金 アルビオンアート・コレクション |
|
 |
アメシストは、日本名で「紫水晶」と呼ばれています。大きな結晶で発見されることは希で、均一な紫色のものはさらに少なく大変に貴重です。アメシストの語源は、ギリシア語の“メシー methy”(お酒)に、否定の“ア a”がついて、「酒に酔わない」「この石の盃で酒を飲めば悪酔いしない」という意味に由来しています。また、ギリシア神話では、酒の神バッカスが月の女神ディアナに振られ、その仕返しに無差別に最初に会った者を猛獣ピューマに襲わせました。その標的となったのが、女官アメシスト。ピューマの鋭い爪が、彼女を切り裂こうとした瞬間、女神ディアナが彼女を純白の石にかえてしまいました。バッカスは自らの罪を後悔し、その石にぶどう酒を注いだのです。するとどうでしょう!石は紫に染まり、紫色の宝石アメシストとなったのです。
宝石言葉: 誠実/心の平和/高貴 Attributes: sincerity, peace of mind, and nobility. |
 |
3月の誕生石:アクアマリン、ブラッドストーン March Birthstone: Aquamarine, Bloodstone 「葡萄を収穫するキューピッド」のカメオ・ペンダント 1905年頃 アクアマリン、ダイヤモンド、プラチナ、金 アルビオンアート・コレクション |
|
 |
アクアマリンは、日本名で「藍玉」と呼ばれています。緑柱石の一種で、青系色のものがアクアマリン、緑系色のものがエメラルドです。アクアマリンの語源は、ラテン語の“水 aqua”と“海 marinus”に由来し、伝説では海底にいる美しい海の精の宝物が、浜辺に打ちあげられて宝石になったと伝えられています。また、ギリシア神話では、月の女神ディアナの石としても知られています。 ブラッドストーンはカルセドニー(玉髄)の一種で、濃い緑色の地に鉄分による赤い斑点模様があります。その斑点が血液を連想させることから、“血 blood”の“石 stone”、ブラッドストーンと名付けられました。また、伝説では、キリストが十字架に架けられたとき、傷口からしたたる血が地面に落ちて石になったものだと伝えられています。
宝石言葉:聡明/沈着/勇敢 Attributes: brightness, calmness, and courage. |
 |
4月の誕生石:ダイヤモンド April Birthstone: Diamond イギリス連合王国を模したスプレイ・トレンブラン・ブローチ 1801年 イギリス ダイヤモンド、金、銀 アルビオンアート・コレクション |
|
 |
ダイヤモンドは、日本名で「金剛石」と呼ばれています。地球上で一番硬い鉱物で、地下100kmの深さ、高温、高圧のなかで生まれます。キンバレー岩などの火成岩に含まれており、その岩を砕いて採取されます。1カラットのダイヤモンドを採掘するために、およそ1トンものキンバレー岩を掘り出さねばならないと言われています。ダイヤモンドの語源は、その硬さ故にギリシア語の“アダマス adamas”(征服されざるもの)に由来し、何者にも屈しない、清浄無垢の象徴として崇められてきました。ダイヤモンドが最初に発見されたのは2000年以上も前のインドですが、15世紀にオランダの職人がダイヤモンドをダイヤモンドで磨き、見事な輝きが発見され、一躍、宝石の至宝の座につきました。無色透明のものだけでなく、色を放つカラーダイヤモンドもあります。なかでもピンク・ダイヤは大変に希少です。また、カラット(重さ)、カット(形)、カラー(色)、クラリティー(傷・濁り)からなる4Cという、ほかの宝石にはない鑑別方法が用いられています。
宝石言葉:不屈/清浄無垢 Attributes: steadfastness and innocence |
 |
5月の誕生石:エメラルド May Birthstone: Emerald 王冠を冠したハートのリング 1860年頃 エメラルド、ダイヤモンド、金、銀 アルビオンアート・コレクション |
|
 |
エメラルドは、緑柱石の一種で、緑系色のものを言います。日本名では「翠玉」「緑柱石」とも呼ばれています。同じ緑柱石の仲間のアクアマリンと比較して、その数が少ないことから貴重な石とされてきました。エメラルドの語源は、サンスクリット語の“スマラカタ(緑)”にはじまり、古代フランス語の“エスメラルダ”に由来します。紀元前1650年頃にエジプトの砂漠で発見され、クレオパトラがもっとも愛した石と言われています。エメラルドに魅せられた彼女は、自分の鉱山まで持っていたほどです。シーザーも治療のためにたくさん集めたと伝えられています。また、ローマの暴君ネロもこの石を愛したと伝えられています。さらにユダヤ教では「聖なる宝石」、キリスト教では「法王石」として崇められてきました。
宝石言葉:夫婦の愛/幸福/誠実 Attributes: love of a married couple, happiness, and sincerity. |
 |
6月の誕生石:パール、ムーンストーン June Birthstone: Pearl, Moonstone ナチュラル・パールとダイヤモンドのブローチ 1870年頃 イギリス ナチュラル・パール、ダイヤモンド、金、銀 アルビオンアート・コレクション |
|
 |
パール(真珠)は、真珠貝が自らの貝の中に入った異物から身を守るために、分泌物を出して異物を包み込んでできたもの。宝飾品のなかでも唯一、生命体が生み出すもので、「天然真珠」と「養殖真珠」に分けられ、さらに母貝の生息水域と種類によって分類されています。海水真珠のアコヤ貝、白蝶貝、黒蝶貝、マベ貝、アワビ貝などと、淡水真珠の池蝶貝、烏貝などから産出され、ホワイト、クリーム、シルバー、ピンク、ブラックなど多彩な色調のものがあります。日本で「和珠」と呼ばれる本真珠は、養殖も含めアコヤ貝によるものです。
ムーンストーンは、「長石」の一種でシラー効果(陰のある特有の青白い光沢)の特徴を持っています。日本名で「月長石」と呼ばれ、主に真珠のような乳白色で知られていますが、ピンク、ブルー、グリーンなどの淡い色を放つものもあります。
宝石言葉:純粋無垢/健康/長寿 Attributes: virginity, health, and longevity. |
 |
7月の誕生石:ルビー July Birthstone: Ruby ルビーとダイヤモンドのリング 1950年頃 カルティエ(パリ) フランス ルビー、ダイヤモンド、金、プラチナ 個人蔵©AAJI |
|
 |
ルビーは、日本名で「紅玉」で、「コランダム」という鉱物に属します。本来、純粋な「コランダム」は無色ですが、含有物の違いにより、赤いものがルビー、青いものがサファイアとなります。ルビーのなかには、クロムや鉄分の含有量の違いにより、赤色、ピンク色、褐色などの色があります。また、ダイヤモンドに次いで硬い石ですが、結晶と結晶が結合してできる双晶のルビーは、非常にひび割れしやすいと言われています。ルビーの語源は、ラテン語の“ルベウス ruberus”(赤)に由来し、古くからの赤い宝石の頂点として珍重されてきました。古代インドでは、「宝石の王者」と呼ばれ、ギリシア時代では、ガーネットやスピネルといった赤い石も含めて「燃える石炭」と称されていました。
宝石言葉:情熱/威厳/勇気/仁愛/自由 Attributes: passion, dignity, bravery, love of humanity, and freedom. |
 |
8月の誕生石:ペリドット August Birthstone: Peridot スカラベのブローチ 1900年頃 レオポル・ゴートレ フランス ペリドット、ダイヤモンド、パール、エナメル、金 アルビオンアート・コレクション |
|
 |
ペリドットは宝石の場合の名前で、オリーブ色をしていることから鉱物名は「オリヴィン」と呼ばれています。日本名は「かんらん石」。古代エジプト(紅海のセント・ジョン島)で発見され、プトレマイオス王の后に献上されたと伝えられています。また、当時は「トパゾフ」と呼ばれ、トパーズと混同されていました。ペリドットの語源は、ギリシア語でよく似た色の石「エピドート」から生まれたのではないかと言われています。油っぽい色が特徴で、オイル・グリーンと称される黄緑色のものが主流です。エジプトや中国、ミャンマー、パキスタンなどで採掘されますが、現在、もっとも有名な産地は、アメリカのアリゾナ州サン・カルロス(ネイティブ・アメリカンの居留地)です。
宝石言葉:友愛/夫婦の和合 Attributes: fraternity and harmony of husband and wife. |
 |
9月の誕生石:サファイア September Birthstone: Sapphire カシミール・サファイアとダイヤモンドのリング 1910年頃 イギリス カシミール・サファイア、ダイヤモンド、プラチナ 個人蔵©AAJI |
|
 |
サファイアは、日本名「青玉」で、ルビーと同じ「コランダム」という鉱物に属します。本来、純粋な「コランダム」は無色ですが、含有物の違いにより、赤いものがルビー、赤色を除いたものがサファイアとなります。一般的には青色をサファイアと呼んでいますが、なかには、酸化チタニウムの含有量の違いにより、無色、緑色、黄色、ピンク色などがあります。また、ルビーと同様にダイヤモンドに次いで硬い石で、宝飾品だけでなく、現代では工業用にも使われています。サファイアの語源は、ギリシア語の“サフェイロス sappheiros”(青)に由来します。一説には、古代にサファイアと呼ばれていたのは「ラピス・ラズリ(青い石)」であったとも言われています。
宝石言葉:慈愛/誠実/徳望/真理 Attributes: tenderness, sincerity, virtue, and truth. |
 |
10月の誕生石:オパール October Birthstone: Opal ホワイト・オパールのブローチ 1910年頃 イギリス ホワイト・オパール、ダイヤモンド、プラチナ アルビオンアート・コレクション |
|
 |
オパールの語源は、この石が美しく光ることからラテン語の“宝石 opalus”に由来します。日本名では「蛋白石」と呼ばれています。非晶質(石の内部の原子配列が不規則)で、美しい色彩の粒子があるのが特徴です。火山の溶岩の中にできるマウンテン・オパールと砂岩の中にできるサンドストーン・オパールの二つに分類されます。いずれも他の多くの宝石と異なり5~10%の水分を含んでいます。色は乳白色、赤色、黄色、灰色、緑色、黒色などがあり、透明や不透明、ガラス光沢や真珠光沢など、多彩な表情のものがあります。宝石のほかに、動植物がオパール化したものもありますが、総じて、虹色の発色が強い方が価値が高いとされています。
宝石言葉:希望/幸福/安楽 Attributes: hope, happiness, and comfort. |
 |
11月の誕生石:トパーズ November Birthstone: Topaz ピンク・トパーズのパリュール 1820-30年頃 ピンク・トパーズ、エメラルド、金 個人蔵©AAJI |
|
 |
トパーズは、ギリシア語で“探し求める topazos”の意味から名付けられました。この石がたくさん採れる紅海の島を船乗りたちは探し求めました。深い霧に包まれたこの島は見つけるのが困難なためトパゾン島と呼ばれ、この島で採取できた宝石を、当時は「トパゾフ」と呼んでいました。しかし、それは現在のトパーズではなくペリドットと混同していたのです。古代にトパゾン島と呼ばれた島は、ペリドットの採掘で知られるセント・ジョン島であるとされています。日本名は「黄玉」と呼ばれ、日本でも採取できます。淡い黄色が特徴ですが、結晶のひずみから青色のものもあります。放射線処理を加えた人工「ブルー・トパーズ」やアメシストを熱処理した「シリトン・トパーズ」などがありますが、宝石としてはブラジル産・天然のインペリアル・トパーズやパキスタン産のピンク・トパーズが有名です。
宝石言葉:友情/希望/潔白 Attributes: friendship, hope, and rectitude. |
 |
12月の誕生石:トルコ石 December Birthstone: Turquoise フローレンス・モザイクのパリュール 1880年頃 イタリア ハード・ストーンのモザイク(モザイクの青い石がトルコ石)、金 個人蔵©AAJI |
|
 |
トルコ石は、約6000年前の古代エジプトの初期の墳墓や、古代インカの財宝の中から宝飾品が発見されていることから、人類との関わりがもっとも古い宝石のひとつです。ペルシア(現イラン)で採掘されたものがトルコ(トルコの商人)を通過して地中海に伝わったことからトルコ石(ターコイズ)と名付けられました。ターコイズ・ブルーと呼ばれる美しい空色がもっとも有名で、天然のものは希少価値が非常に高いとされています。チベットでは緑色が一番価値あるものとされ珍重されています。古代のペルシア人たちは、この石には魔除けの力があるとして、タイルや陶器に同じ空色の釉薬を塗りました。また、アメリカ・アリゾナ州でも採掘でき、インディアンの守護石にもなっています。
宝石言葉:成功 Attribute: success |
 |
Photo © AAJI 2006 - 2007 |