展覧会 - Exhibitions
バース・ストーン 華麗なるジュエリー展
特別企画展
バース・ストーン
華麗なるジュエリー展
誕生石に秘められた宝石物語
The Birthstones and the Gorgeous Jewelry:
The Hidden Stories of Birthstones
Special Exhibition of Tokyo Fuji Art Museum

 
【会期】
2006年10月7日(土)~2007年1月14日(日)
【休館日】
毎週月曜日(但し10月9日、2007年1月8日は開館)/年末年始【2006年12月25日(月)~2007年1月1日(月)※年始は1月2日より開館いたします。】
【開館時間】
午前10時~午後5時(午後4時30分受付終了)
【入場料金】
大人1000(800)円/大高生600(500)円/中小生300(200)円
※( )内は20名以上の団体・割引料金ならびに65歳以上の方、当館メルマガ登録者。
※毎週土曜日は中小生無料
※障害者及び付添者1名は半額[証明書等をご提示下さい]
【主催】
東京富士美術館
【特別協力】
アルビオンアート株式会社
【企画協力】
アルビオンアート ジュエリー インスティチュート
 
 このたび東京富士美術館では、特別企画展「バース・ストーン/華麗なるジュエリー展」を、世界的宝飾芸術のコレクションで知られるアルビオンアートのご協力を戴き開催することとなりました。アルビオンアートは、ファッション性の高さだけではなく芸術性の高さにおいても、優れた宝飾芸術を長年にわたり日本に紹介してきました。
 花の特性に基づいて、それにある意味をもたせた「花言葉」があるように、宝石にも「誕生石(バース・ストーン)」に因んだ「宝石言葉」があります。「誕生石」は、1月から12月までの誕生月にあわせて宝石を定め、その月に生まれた人の護符または幸運を呼ぶものとして広く親しまれています。一般に知られる「誕生石」は、1950年代初頭、アメリカの宝石商によって制定されたものです。時代や地域によって各月それぞれに違いがありますが、その起源は旧約聖書(ユダヤ教司長の胸板に装飾された12の宝石)、新約聖書(ヨハネ黙示録第21章:新しきエルサレムの東西南北12の門の基礎石)にまで遡るとされています。
 また、人間は宝石を発見した紀元前の遙か古(いにしえ)の時代から、宝石をなにかのシンボルと捉え、神秘を感じ、時には力や幸福を意味するものとして重宝し、それらを身につけることで歓びを感じてきました。人間が抱くこれら宝石への畏敬の念が、自分が生まれた月と宝石とを神秘的に結びつけたとしても不思議ではないでしょう。いずれにせよ、この人間と宝石との歴史の原点は今日まで受け継がれ、時代と様式を越えて、幸福の象徴として愛され続けています。
 本展では、アルビオンアート・コレクションを中心に個人所蔵家の方々のご協力のもと、厳選したリング、ネックレス、イヤリングなどの宝飾芸術の至宝40点を公開。それらを現代的視点の「誕生石」で構成し、その宝石を象徴する「宝石言葉」や神話・逸話などの「物語」とともに紹介し、宝石の放つ魅惑の輝きに迫ろうとするものです。


 ※「誕生石」は、時代や地域によって各月の石が異なっています。本展の「誕生石」の構成は、現代のイギリス、アメリカ、日本において一般的に定められたものを基本にまとめたものです。「宝石言葉」は、誕生石にちなんだものだけでなく、古くから伝えられているものも含めて紹介しています。
 また、現代の「誕生石」は、近年に定められたもので、出品作品のジュエリーは、必ずしも「誕生石」の意味する内容をふまえて制作されたものではありません。

ガーランド・スタイルのティアラ
ガーランド・スタイルのティアラ
1909年
カルティエ(パリ)
フランス
ダイヤモンド、プラチナ
アルビオンアート・コレクション

パールとダイヤモンドのティアラ/ネックレス
パールとダイヤモンドのティアラ/ネックレス
1890年頃
イギリスまたはフランス
パール、ダイヤモンド、金、銀
個人蔵©AAJI

ルビーとダイヤモンドのスター・ティアラ
ルビーとダイヤモンドのスター・ティアラ
19世紀中頃
ルビー、ダイヤモンド、金、銀
個人蔵©AAJI


1月の誕生石:ガーネット
January Birthstone: Garnet

「家庭の女神ヘラ」のカメオ・ブローチ
1850-70年
ポール・ヴィクトール・ル・バ
フランス
ガーネット、ダイヤモンド、パール、金、銀
個人蔵©AAJI
1月の誕生石:ガーネット
ガーネットは植物のザクロ(柘榴)の果実に似ていることから、日本名では「ザクロ石」とも呼ばれています。ガーネットの語源は、ラテン語の“グラナトゥム granatum”(ザクロまたは種子)に由来し、赤色のアルマンディン・ガーネットがもっともよく知られています。その他、緑色のデマントイド・ガーネットや黄色のトパゾライト、褐色やピンク色で知られるグロッシュラー、さらに紫色のロードライト、虹色のレインボーなどがあり、一言にガーネットと言っても14種類の鉱石のグループのことをさしています。

宝石言葉: 勝利/貞操/真実/友愛/忠実
Attributes: victory, chastity, truth, fraternity, and fidelity.
2月の誕生石:アメシスト
February Birthstone: Amethyst

花びらのペンダント
1870年頃
ロバート・フィリップス
イギリス
アメシスト、パール、エナメル、金
アルビオンアート・コレクション
2月の誕生石:アメシスト
アメシストは、日本名で「紫水晶」と呼ばれています。大きな結晶で発見されることは希で、均一な紫色のものはさらに少なく大変に貴重です。アメシストの語源は、ギリシア語の“メシー methy”(お酒)に、否定の“ア a”がついて、「酒に酔わない」「この石の盃で酒を飲めば悪酔いしない」という意味に由来しています。また、ギリシア神話では、酒の神バッカスが月の女神ディアナに振られ、その仕返しに無差別に最初に会った者を猛獣ピューマに襲わせました。その標的となったのが、女官アメシスト。ピューマの鋭い爪が、彼女を切り裂こうとした瞬間、女神ディアナが彼女を純白の石にかえてしまいました。バッカスは自らの罪を後悔し、その石にぶどう酒を注いだのです。するとどうでしょう!石は紫に染まり、紫色の宝石アメシストとなったのです。

宝石言葉: 誠実/心の平和/高貴
Attributes: sincerity, peace of mind, and nobility.
3月の誕生石:アクアマリン、ブラッドストーン
March Birthstone: Aquamarine, Bloodstone

「葡萄を収穫するキューピッド」のカメオ・ペンダント
1905年頃
アクアマリン、ダイヤモンド、プラチナ、金
アルビオンアート・コレクション
3月の誕生石:アクアマリン、ブラッドストーン
アクアマリンは、日本名で「藍玉」と呼ばれています。緑柱石の一種で、青系色のものがアクアマリン、緑系色のものがエメラルドです。アクアマリンの語源は、ラテン語の“水 aqua”と“海 marinus”に由来し、伝説では海底にいる美しい海の精の宝物が、浜辺に打ちあげられて宝石になったと伝えられています。また、ギリシア神話では、月の女神ディアナの石としても知られています。
ブラッドストーンはカルセドニー(玉髄)の一種で、濃い緑色の地に鉄分による赤い斑点模様があります。その斑点が血液を連想させることから、“血 blood”の“石 stone”、ブラッドストーンと名付けられました。また、伝説では、キリストが十字架に架けられたとき、傷口からしたたる血が地面に落ちて石になったものだと伝えられています。

宝石言葉:聡明/沈着/勇敢
Attributes: brightness, calmness, and courage.
4月の誕生石:ダイヤモンド
April Birthstone: Diamond

イギリス連合王国を模したスプレイ・トレンブラン・ブローチ
1801年
イギリス
ダイヤモンド、金、銀
アルビオンアート・コレクション
4月の誕生石:ダイヤモンド
ダイヤモンドは、日本名で「金剛石」と呼ばれています。地球上で一番硬い鉱物で、地下100kmの深さ、高温、高圧のなかで生まれます。キンバレー岩などの火成岩に含まれており、その岩を砕いて採取されます。1カラットのダイヤモンドを採掘するために、およそ1トンものキンバレー岩を掘り出さねばならないと言われています。ダイヤモンドの語源は、その硬さ故にギリシア語の“アダマス adamas”(征服されざるもの)に由来し、何者にも屈しない、清浄無垢の象徴として崇められてきました。ダイヤモンドが最初に発見されたのは2000年以上も前のインドですが、15世紀にオランダの職人がダイヤモンドをダイヤモンドで磨き、見事な輝きが発見され、一躍、宝石の至宝の座につきました。無色透明のものだけでなく、色を放つカラーダイヤモンドもあります。なかでもピンク・ダイヤは大変に希少です。また、カラット(重さ)、カット(形)、カラー(色)、クラリティー(傷・濁り)からなる4Cという、ほかの宝石にはない鑑別方法が用いられています。

宝石言葉:不屈/清浄無垢
Attributes: steadfastness and innocence
5月の誕生石:エメラルド
May Birthstone: Emerald

王冠を冠したハートのリング
1860年頃
エメラルド、ダイヤモンド、金、銀
アルビオンアート・コレクション
5月の誕生石:エメラルド
エメラルドは、緑柱石の一種で、緑系色のものを言います。日本名では「翠玉」「緑柱石」とも呼ばれています。同じ緑柱石の仲間のアクアマリンと比較して、その数が少ないことから貴重な石とされてきました。エメラルドの語源は、サンスクリット語の“スマラカタ(緑)”にはじまり、古代フランス語の“エスメラルダ”に由来します。紀元前1650年頃にエジプトの砂漠で発見され、クレオパトラがもっとも愛した石と言われています。エメラルドに魅せられた彼女は、自分の鉱山まで持っていたほどです。シーザーも治療のためにたくさん集めたと伝えられています。また、ローマの暴君ネロもこの石を愛したと伝えられています。さらにユダヤ教では「聖なる宝石」、キリスト教では「法王石」として崇められてきました。

宝石言葉:夫婦の愛/幸福/誠実
Attributes: love of a married couple, happiness, and sincerity.
6月の誕生石:パール、ムーンストーン
June Birthstone: Pearl, Moonstone

ナチュラル・パールとダイヤモンドのブローチ
1870年頃
イギリス
ナチュラル・パール、ダイヤモンド、金、銀
アルビオンアート・コレクション
6月の誕生石:パール、ムーンストーン
パール(真珠)は、真珠貝が自らの貝の中に入った異物から身を守るために、分泌物を出して異物を包み込んでできたもの。宝飾品のなかでも唯一、生命体が生み出すもので、「天然真珠」と「養殖真珠」に分けられ、さらに母貝の生息水域と種類によって分類されています。海水真珠のアコヤ貝、白蝶貝、黒蝶貝、マベ貝、アワビ貝などと、淡水真珠の池蝶貝、烏貝などから産出され、ホワイト、クリーム、シルバー、ピンク、ブラックなど多彩な色調のものがあります。日本で「和珠」と呼ばれる本真珠は、養殖も含めアコヤ貝によるものです。 ムーンストーンは、「長石」の一種でシラー効果(陰のある特有の青白い光沢)の特徴を持っています。日本名で「月長石」と呼ばれ、主に真珠のような乳白色で知られていますが、ピンク、ブルー、グリーンなどの淡い色を放つものもあります。

宝石言葉:純粋無垢/健康/長寿
Attributes: virginity, health, and longevity.
7月の誕生石:ルビー
July Birthstone: Ruby

ルビーとダイヤモンドのリング
1950年頃
カルティエ(パリ)
フランス
ルビー、ダイヤモンド、金、プラチナ
個人蔵©AAJI
7月の誕生石:ルビー
ルビーは、日本名で「紅玉」で、「コランダム」という鉱物に属します。本来、純粋な「コランダム」は無色ですが、含有物の違いにより、赤いものがルビー、青いものがサファイアとなります。ルビーのなかには、クロムや鉄分の含有量の違いにより、赤色、ピンク色、褐色などの色があります。また、ダイヤモンドに次いで硬い石ですが、結晶と結晶が結合してできる双晶のルビーは、非常にひび割れしやすいと言われています。ルビーの語源は、ラテン語の“ルベウス ruberus”(赤)に由来し、古くからの赤い宝石の頂点として珍重されてきました。古代インドでは、「宝石の王者」と呼ばれ、ギリシア時代では、ガーネットやスピネルといった赤い石も含めて「燃える石炭」と称されていました。

宝石言葉:情熱/威厳/勇気/仁愛/自由
Attributes: passion, dignity, bravery, love of humanity, and freedom.
8月の誕生石:ペリドット
August Birthstone: Peridot

スカラベのブローチ
1900年頃
レオポル・ゴートレ
フランス
ペリドット、ダイヤモンド、パール、エナメル、金
アルビオンアート・コレクション
8月の誕生石:ペリドット
ペリドットは宝石の場合の名前で、オリーブ色をしていることから鉱物名は「オリヴィン」と呼ばれています。日本名は「かんらん石」。古代エジプト(紅海のセント・ジョン島)で発見され、プトレマイオス王の后に献上されたと伝えられています。また、当時は「トパゾフ」と呼ばれ、トパーズと混同されていました。ペリドットの語源は、ギリシア語でよく似た色の石「エピドート」から生まれたのではないかと言われています。油っぽい色が特徴で、オイル・グリーンと称される黄緑色のものが主流です。エジプトや中国、ミャンマー、パキスタンなどで採掘されますが、現在、もっとも有名な産地は、アメリカのアリゾナ州サン・カルロス(ネイティブ・アメリカンの居留地)です。

宝石言葉:友愛/夫婦の和合
Attributes: fraternity and harmony of husband and wife.
9月の誕生石:サファイア
September Birthstone: Sapphire

カシミール・サファイアとダイヤモンドのリング
1910年頃
イギリス
カシミール・サファイア、ダイヤモンド、プラチナ
個人蔵©AAJI
9月の誕生石:サファイア
サファイアは、日本名「青玉」で、ルビーと同じ「コランダム」という鉱物に属します。本来、純粋な「コランダム」は無色ですが、含有物の違いにより、赤いものがルビー、赤色を除いたものがサファイアとなります。一般的には青色をサファイアと呼んでいますが、なかには、酸化チタニウムの含有量の違いにより、無色、緑色、黄色、ピンク色などがあります。また、ルビーと同様にダイヤモンドに次いで硬い石で、宝飾品だけでなく、現代では工業用にも使われています。サファイアの語源は、ギリシア語の“サフェイロス sappheiros”(青)に由来します。一説には、古代にサファイアと呼ばれていたのは「ラピス・ラズリ(青い石)」であったとも言われています。

宝石言葉:慈愛/誠実/徳望/真理
Attributes: tenderness, sincerity, virtue, and truth.
10月の誕生石:オパール
October Birthstone: Opal

ホワイト・オパールのブローチ
1910年頃
イギリス
ホワイト・オパール、ダイヤモンド、プラチナ
アルビオンアート・コレクション
10月の誕生石:オパール
オパールの語源は、この石が美しく光ることからラテン語の“宝石 opalus”に由来します。日本名では「蛋白石」と呼ばれています。非晶質(石の内部の原子配列が不規則)で、美しい色彩の粒子があるのが特徴です。火山の溶岩の中にできるマウンテン・オパールと砂岩の中にできるサンドストーン・オパールの二つに分類されます。いずれも他の多くの宝石と異なり5~10%の水分を含んでいます。色は乳白色、赤色、黄色、灰色、緑色、黒色などがあり、透明や不透明、ガラス光沢や真珠光沢など、多彩な表情のものがあります。宝石のほかに、動植物がオパール化したものもありますが、総じて、虹色の発色が強い方が価値が高いとされています。

宝石言葉:希望/幸福/安楽
Attributes: hope, happiness, and comfort.
11月の誕生石:トパーズ
November Birthstone: Topaz

ピンク・トパーズのパリュール
1820-30年頃
ピンク・トパーズ、エメラルド、金
個人蔵©AAJI
11月の誕生石:トパーズ
トパーズは、ギリシア語で“探し求める topazos”の意味から名付けられました。この石がたくさん採れる紅海の島を船乗りたちは探し求めました。深い霧に包まれたこの島は見つけるのが困難なためトパゾン島と呼ばれ、この島で採取できた宝石を、当時は「トパゾフ」と呼んでいました。しかし、それは現在のトパーズではなくペリドットと混同していたのです。古代にトパゾン島と呼ばれた島は、ペリドットの採掘で知られるセント・ジョン島であるとされています。日本名は「黄玉」と呼ばれ、日本でも採取できます。淡い黄色が特徴ですが、結晶のひずみから青色のものもあります。放射線処理を加えた人工「ブルー・トパーズ」やアメシストを熱処理した「シリトン・トパーズ」などがありますが、宝石としてはブラジル産・天然のインペリアル・トパーズやパキスタン産のピンク・トパーズが有名です。

宝石言葉:友情/希望/潔白
Attributes: friendship, hope, and rectitude.
12月の誕生石:トルコ石
December Birthstone: Turquoise

フローレンス・モザイクのパリュール
1880年頃
イタリア
ハード・ストーンのモザイク(モザイクの青い石がトルコ石)、金
個人蔵©AAJI
12月の誕生石:トルコ石
トルコ石は、約6000年前の古代エジプトの初期の墳墓や、古代インカの財宝の中から宝飾品が発見されていることから、人類との関わりがもっとも古い宝石のひとつです。ペルシア(現イラン)で採掘されたものがトルコ(トルコの商人)を通過して地中海に伝わったことからトルコ石(ターコイズ)と名付けられました。ターコイズ・ブルーと呼ばれる美しい空色がもっとも有名で、天然のものは希少価値が非常に高いとされています。チベットでは緑色が一番価値あるものとされ珍重されています。古代のペルシア人たちは、この石には魔除けの力があるとして、タイルや陶器に同じ空色の釉薬を塗りました。また、アメリカ・アリゾナ州でも採掘でき、インディアンの守護石にもなっています。

宝石言葉:成功
Attribute: success
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